井蛙考-とある社会人の備忘録

うわべに見ゆる以上であれ

メモ 浅野祐吾著「軍事思想史入門-近代西洋と中国-」(2010)原書房

 

軍事思想史入門 ~近代西洋と中国~

軍事思想史入門 ~近代西洋と中国~

 

浅野祐吾(1918~1977)

 

軍事思想を形成する上で重要な要因 軍事制度、兵器技術、用兵思想 9p

 

「軍事思想史とはこのような総合的な軍事思想を歴史的に展開して各時代の特色とその歴史的変遷を辿るものである」10p

 

〇 観念としての軍事思想を捉える上でのアプローチ

1 戦争史を通じて見られる若干の特定の将帥等用兵実績から考察

2 その時代の著名な兵学書等を通じてその用兵理論を研究

3 戦争史研究の考察と兵学書等に見られる用兵理論との間の共通性の有無を調査

4 その時代の歴史を概観して諸々の社会的諸現象とこれらの用兵思想の誕生との間に存在する因果関係の有無を調査

5 再度軍事に目を向けて軍制や兵器等の具体的事実と用兵思想との関係において軍事思想成立の内的関係を確認

6 各時代の軍事思想の歴史的変遷(連続性と非連続性)を観察

 

「軍事思想史の研究においては前項で述べたようにほとんどが理論的な考察であり、これを通じて得るものは知識と言うよりはむしろ研究者自身の観察能力ではなかっただろうか」11p

 

用兵思想なるものは、唯物的な用兵理論と人間的な統率の両側面を包含する 167p

 

〇 用兵思想とその諸要素との相関に関する考察のまとめ 183p

1 常在不滅性(地理的要素、精神的要素、有形的要素は用兵思想形成に不可欠)

 総合性(諸要素が、総合された全体の中において存在していることに意義がある)

3 絶対的評価(それぞれの時代において一つの要素のみが特に絶対性に近い評価を受けていた)軍人の存在意義そのものにかかわる

 戦略的性格(絶対的評価を受けた要素は、戦略的影響をもたらす)

5 循環性(それぞれの主要素は循環する)

 異思想の共存性(各時代を代表する用兵思想には、常に相反する二種類の思想が共存)

 戦争様相(形態)と用兵主要素との関連性

 

解説 道標としての『軍事思想史入門』 片岡徹也

 ・兵学研究は浅野にとって全人格を賭しての使命であり軍人の存在意義そのものに関わる

・再び未熟な兵学や偏頗な兵学、さらには兵学研究の怠慢によって悲惨な出来事を繰り返してはならない

・兵学研究は日本国と日本国民の未来のためにあるという視座を失ってはならない