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井蛙考-とある社会人の備忘録

うわべに見ゆる以上であれ

メモ 浅野裕一著「「孫子」を読む」(1993)講談社現代新書

 

「孫子」を読む (講談社現代新書)

「孫子」を読む (講談社現代新書)

 

 

浅野裕一(1946~) 

 

〇 春秋時代の中原における戦争形態

軍隊構成ー特権的な身分兵士により構成、将軍は随時任命、動員兵力の限界

兵器の性格ー戦車、高度の操縦技術、多額の維持費用、戦闘の様式化

戦闘様相ー野戦・攻城戦ともに短時間・短期間、個人の武勇や技量を重視

軍事思想ーいまだ体系化されず

〇 『孫子』の想定する戦争形態

軍隊構成-10万の大軍の動員、将軍の独立指揮権の強調、将軍の専門職化、

兵器の性格ー戦車よりも歩兵重視、複雑な戦術、兵士の心理に着目、個人よりも集団全体の態勢や気勢を重視

戦闘様相ー敵国内への長躯侵攻、数年にわたる長期持久戦、国力を傾けての総力戦

孫子の兵学思想の特徴ー短期決戦の主張、間接的戦略・情報収集・諜報活動の重視

〇 孫臏が活躍した戦国時代の戦争形態

軍隊編成ー数十万から100万、将軍の専門職化

兵器の性格ー歩兵中心+騎兵の出現

戦闘様相ー長期持久戦、消耗戦、総力戦の様相を深める、戦線の膠着化、城邑の争奪が目的の一つに

孫臏の兵学思想の特徴ー騎兵の運用に関する戦術の登場、攻城戦、陣地の構築法陣法の具体化

〇 『孫子』の各章の構成

第一 計篇 

 開戦前に自国と敵国の状況をくわしく比較し、どちらに勝算があるのかを冷静に計謀するよう説く

第二 作戦篇

 国内で軍を編成したのち、外征軍を派遣するために必要な軍費と国家経済との関係について述べる

第三 謀攻篇

 実際の戦闘によらず、計謀によって敵を攻略すべきことを述べる

 孫子の戦略論の総括

第四 形篇

 自軍は不敗の態勢を維持しながら、敵軍が敗北を招く態勢になるのを待ち受け、無理なく勝利すべきことを説く

 表面に出ない必勝の態勢

第五 勢篇

 兵士の個人的勇気に頼って勝とうとするのではなく、戦闘に突入する軍全体の勢いによって勝利すべきことを説く

第六 虚実篇

 敵軍の行動を自在にあやつりながら、兵力の相対的優勢を確保し、実によって虚を撃つ戦術を説く

 孫子兵学の一つの頂点

第七 軍争篇

 敵よりも遅く出発しながら、敵軍に先んじて戦場に到着する戦術を説く

第八 九変篇

 将軍が君主に任命されて軍隊の指揮権を掌握し、敵と決戦するまでの間に考慮すべき、九種類の臨機応変の対処法を説く

第九 行軍篇

 軍の進止や敵情偵察など、行軍の際に必要な注意事項を述べる

第十 地形篇

 各種の地形的特性をあげて、それぞれに適した戦術を示すとともに、あわせて軍隊の統率法をも述べる

第十一 九地篇

 九種の地勢の特色と、それぞれに応じた戦術を示すとともに、自軍をわざと絶体絶命の窮地に誘導し、兵士に決戦を命ずる戦法を説く

第十二 用間篇

 五種類の間諜を駆使し、敵の実情を事前に探知する、情報戦の重要性を説く

第十三 火攻篇

 火攻めの戦術を述べるとともに、戦争に対する慎重な姿勢を説いて、十三篇全体を締めくくる

 

著作

孫子 (講談社学術文庫)

孫子 (講談社学術文庫)