【片岡徹也】 著書「軍事の事典」から片岡氏の主張をまとめてみる

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 どうも、kuronekoです。

 みなさんは片岡徹也という人物をご存知ですか?

 ほとんどの方は知らないと思いますが、用兵思想研究の分野では非常に有名な方です。

 

 

 片岡徹也(1958~2011)社会学者、用兵思想研究者で、帝国陸軍や近代ドイツ軍等に関する論文を書かれたり、歴史群像「太平洋戦争」シリーズや戦略論大系などにも携わっていました。また、歴史群像において「近代軍事学の道標」というテーマで連載も持っていました。

 

太平洋戦争 決定版 (1) 「日米激突」への半世紀 (歴史群像シリーズ)

太平洋戦争 決定版 (1) 「日米激突」への半世紀 (歴史群像シリーズ)

 
戦略論大系〈3〉モルトケ

戦略論大系〈3〉モルトケ

  • 作者: 片岡徹也,戦略研究学会
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本
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論文(ciniiで確認できるもの)

1986

<研究ノート>軍隊研究に先行する予備考察

1987

皇軍観念の知識社会学的研究

昭和初期・日本陸軍への社会学的アプロ-チ

1989

日本陸軍兵学研究と漢学の祖型

1990

戦争決意に影響した日本陸軍用兵思想の欠陥 (第2次世界大戦--発生と拡大) -- (開戦前夜の日本)

1998

戦いの原則の先駆者たち--揺籃期の戦いの原則

1999

総力戦と戦いの原則--南北戦争から第一次世界大戦まで

戦いの9原則の確立とその将来--論争から定着へ

モルトケの用兵思想--軍事革命(RMA)への警告

2000

「戦いの原則」の歴史から見えること--新たなる原則策定への動きを期待して

シュリーフェンの用兵思想--理論軽視の実践者への警告

陣地戦から電撃戦へ--新しい創造とは

2001

フランス陸軍攻勢主義の起源--悲惨な教義はなぜ生まれたのか

なぜジョミニは忘却されたのか--純軍事理論を求めた時代とその限界

2002

近代戦に乗り遅れた軍隊--20世紀初頭イギリス陸軍から何を学ぶか

2005

将来の用兵思想を目指しての道標--Azar Gat著「A History of Military Thought」(Oxford University Press, 2001)から考えたこと 用兵思想の継承と積み上げの広場と道標を志して(12-1)

2006

21世紀陸上自衛隊ドクトリンの立脚点を求めて--19世紀の原点の再確認

2008

ドクトリンの開幕--モルトケの現代性とドクトリンのルーツ (特集 ドクトリン)

スペンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(1)ケーニッヒグレーツの勝者と敗者

スペンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(2)うわべに見ゆる以上であれ

スペンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(3)継続学習のシステム

スペンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(4)最悪に備え、戦争を指揮する

2009

スぺンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(5)陸軍大学校

スペンサー・ウィルキンソン著『軍の頭脳』を読む(6)苗を育てる

将来に備えるための媒体として--ミリタリーにおける部内誌の意義

2010

読者意見 『戦間期に生じた軍の革新』を考える(2)戦略爆撃:3か国の異なった取り組み(第35巻第5号掲載)

古典用兵思想から軍の革新へ(第1回)創造の方法論を求めて(難問を解くために)

古典用兵思想から軍の革新へ(第2回)創造の方法論を求めて(勝つことではなく、負けないこと)

古典用兵思想から軍の革新へ(第3回)創造の方法論を求めて(消極的な戦争であることについて考える)

読者意見 「戦略概論(基礎・歴史篇)」(第36巻第1号掲載)の続編に期待する--比較用兵思想史の視点を

2011

古典用兵思想から軍の革新へ(第4回)創造の方法論を求めて(可能性の術)

古典用兵思想から軍の革新へ(第5回)創造の方法論を求めて(戦争の作戦的次元、作戦的視点)

古典用兵思想から軍の革新へ(第6回)創造の方法論を求めて(羊ではなく、獅子の群を指揮する)

古典用兵思想から軍の革新へ(第7回)創造の方法論を求めて(臨機応変の体系)

 

 

 彼の著書の中に「軍事の事典」という本があります。

 「軍事の事典」の執筆動機は「その当時権威とされていた典拠に記載された用例を通して、軍事の基礎概念の説明を行い、それにより語の背景にある、矛盾した部分も含めた、思想を浮かび上がらせることを目指す」ことにありました。

なお、書評はこちらにもあります。⇩

片岡徹也編『軍事の事典』東京堂出版、二〇〇九年 - 幸茸のブログ

 

 この本は現代軍事学を理解する上で非常に参考になる本ですが、その中でも彼が「特に強調」して述べていることがとても興味深かったため、簡単にまとめたいと思います。

 

軍事の事典

軍事の事典

 

 

 

 

 

1 知性で敗北した帝国軍

知的分野で敗北した帝国軍

先の大戦は単に敵の物量によって敗れたのではない。知的分野においても敗れたのである。それは兵学の未成熟なかんずく戦略理論の未発達、戦略思想の独善によって象徴されている。そこから目をそむけ、日本的な精神要素の加味された道徳と区別のつけにくい戦略論に逃避することはあってはならない。」163p

 

 旧軍に世界に通じる「兵学」無し

果たして旧軍に精神教育や軍人倫理と明瞭に区分された本当の意味での「兵学」、すなわちScience of War はあったのだろうか。兵学」という語事態、いつの間にか旧陸軍の記憶からは消え去り、現在に到るも復活をしていない。・・・戦後間もない昭和二六年、旧陸軍の兵学と用兵思想を反省した文書が作られている。・・・これらの反省の原点にあるのは、ニューギニヤやソロモン、比島等の、補給の途絶した太平洋の島々に将兵を捨て子にして、多くの餓死者を出し、しかも食も戦闘手段もない将兵に降伏を許すことなく、なおも戦うことを要求して、出さずもがなの犠牲者を累積した戦い方、戦わせ方への苦い悔悟である。これは世界に通用する兵学ではない。・・・軍人が任務のために斃れるのは当然だが、任務達成が不可能になった際、麾下の将兵までも犠牲にする戦い方は、世界に通用する普遍性のある「兵学」から見て、きわめて特殊である。」48p

 

長期的、大局的視野の不在

満州事変から支那事変、そして大東亜戦争の敗戦に至るまで、個々の「作戦」はあっても、それらを相関連した一連の戦役と捉える視点のなかったことは、長期的あるいは大局的な視野を欠いた用兵の病原の一つと考える」23p

 

「必要なことは実現可能」という精神主義

「彼(シュリーフェン)は自らの構想する巨大な第一会戦の勝利が、そのまま本当に戦争の最終的決着につながるのか深刻に検討はしなかったし、この種の「理論的考察」で悩むには、彼は余りにも実践的な軍人であり過ぎた。また彼は「必要なことは実現可能」と考える傲岸なまでの精神主義であった。これは昭和日本陸軍の用兵思想にも継承されている」35p

 

陸軍参謀の欠陥

「メッケルは・・・日本陸軍の参謀の欠陥として、物事を容易になし得ると妄想することと並び、言語が簡明でないことをあげている」50p

 

硬直した統帥

第二次世界大戦大本営はこの「訓令戦術」から見たとき、委ねるべきを現地軍に委ねず数千キロの彼方から硬直した統帥を行っていた点にも問題がある。」235p

 

2 現代日本に必要不可欠な戦争理論研究

現在の日本も戦争研究分野において未熟

 「現在、包括的な戦争の定義を目指して、多種多様な概念が各学問分野から提案されている。だが複雑で変貌を重ねていく戦争に対して、いずれも成功しているとは言い難い。とくに日本においては戦争研究は学問としての市民権をいまだ得ておらず、かといって周辺の社会科学からのアプローチも十分ではない。戦争研究はまだまだ未熟である。戦争を既存の科学の方法論で論じることには限界があり、ときとして誤った方向に、それは導く危険性がある。」18p

 

多くの不安定な軍事用語

「日本において、この軍事の基礎用語は甚だ不安定である。同じ概念を表すのに複数の語がある一方、用いる人間や時代によって同じ語が別の概念を示していたりする。整理もまた悪く、例えば、「戦術」の語が定着した段階で廃語にされるべきであった「戦法」の語が存在し続け、概念に紛糾をきたした。これが日本で軍事の額が成立するのを阻害する大きな原因の一つと考えられる」1p

 

戦争を理解する鍵は平時における戦争理論研究

今日の戦争においては、専門職である軍人が素人の政治家を説得できるか否かに勝利の鍵はかかっている。・・・平和を願いつつ軍事力を活用するというパラドックスは必ずしも万人が認めるとは限らないが、戦争に内在する予測不可能性を考えれば、戦争を研究する最も良い機会は戦争を行っていない平時なのであり、戦争のパラドックスを理解するための知的な鍵は軍事ないし用兵思想を含む戦争理論である。戦争の研究は一部の専門職だけの問題ではない。」105p

 

兵術も軽視してはならない

「いま、こと改めて日本では絶滅に瀕している「兵術」の語に、なぜ照明を当てるのかといえば、兵術の側面を欠いた計画や理論は、観念の遊戯に堕す危険性があり、それは人命の犠牲を伴わずには済まないからである。」58p

 

健全な意思決定のためにも戦争研究に冷淡であってはならない

「いまだに戦争を突き放した立場で研究することは至難の業である。だが戦争が万人に影響し、無意味な戦争が多数の人命浪費につながることを考えれば、戦争研究に冷淡であってはならない。多くの人々が戦争について成熟した判断と知識を持っていればいるほど、健全な意思決定が行われる可能性も高くなることが期待できる。」19p

 

 

 

 

〇 終わりに

 いかがだったでしょうか。

 ちなみにこの本では様々な概念や考え方が書かれていますが、それらは現代軍事学の世界では「常識」となっていることばかりです。(それらは別の機会に書こうと思います。時間があれば・・・)

 つまりこの本は現代軍事学を理解するための「道標」のような位置づけにあると言えます。

 片岡氏が述べているように成熟した判断と知識を持つためにも、ぜひ読んでみることをお薦めします。

 

 

 

 

 

 

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